三重県オリジナル新品種いちご「うた乃」デビュー!

2024.12.5.THU

三重県が誇る新品種いちご「うた乃」の魅力を紹介するデビューイベントが、2024年12月5日、東京・日本橋の三重テラスで開催されました。

三重県のいちご文化を彩る「うた乃」の誕生

三重県農業研究所が30年以上の歳月をかけて開発したいちご「うた乃」は、2022年に品種登録出願され、今シーズンから本格的に出荷がスタートします。

「歌のように広がり愛されるイチゴ」との願いを込め、「うた乃」と命名されました。

「うた乃」は、種子繁殖型という特徴を持ち、病害虫の伝染リスクが低く、育苗の手間を大幅に軽減できます。また、鮮やかな赤色の果皮と淡い赤色の果肉が見た目の美しさを引き立て、糖度の高さが贈り物にも最適です。

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もくじ

・三重県いちごの動向

・種子繁殖型いちごの魅力

・「うた乃」の特徴と今後の動向

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三重県いちごの動向

三重県のいちご栽培面積は、約69haで全国のいちご栽培面積の約1.5%となります。主要品種は、「章姫」「かおり野」「紅ほっぺ」など。県内の主要な産地は伊勢市、松阪市、多気郡を中心に生産されています。

国内の生産面積は、過去10年間で順位の入れ替わりはあるものの、上位7県は固定となっています。三重県では、主要産地に比べて生産面積は小さいものの、三重県農業研究所が開発した「かおり野」や共同育種により誕生した「よつぼし」といった全国的に知名度の高い優良品種を生み出してきました。

2008年の「かおり野」誕生後、三重県でのオリジナル品種としては14年ぶりの新品種となり、「うた乃」の動向に注目が集まっています。

三重県では「章姫」「かおり野」といった、早出しの品種が好まれてきた背景があり、今回デビューした「うた乃」も育種目標の一つとして「早くから安定して収穫できること」が掲げられていました。

また、「うた乃」はいちごの重要病害である炭疽病への抵抗性を有し、種子繁殖型であるといった特性も見られ、これまで三重県農業研究所が培ってきた技術の賜物で生まれた品種と言えます。

種子繁殖型いちごの魅力

「うた乃」の大きな特長は、その育成方式です。従来のランナーによって増やす栄養繁殖型とは異なり、種子繁殖型であるため、病害リスクを軽減しつつ、育苗工程を効率化できます。種子繁殖型は、従来の増殖法に比べて、約100倍の増殖効率となります。さらに、いちご栽培における最大の課題「炭疽病」への高い抵抗性を持っています。

このような革新的な特徴により、農業現場の負担軽減と安定供給が期待されています。

「うた乃」の特徴と今後の動向

新品種「うた乃」は、三重県内の生産者のみが栽培できる品種で、現在は生産者数が十数件程度となっています。

形が良く、ツヤもあり、断面が美しい。さらに、糖度の高さと程よい酸味があります。独特の「南国を思わせる風味」を備えており、他の品種とは明確に異なる特徴を持つ注目の品種です。

贈答用を中心に首都圏でも販売を予定しており、これから販売先が拡充されていくとのことです。

今シーズンから、三重県のアンテナショップ「三重テラス(東京・日本橋)」や百貨店などを皮切りに、販売が開始される予定です。

<ライタープロフィール>

RENA 青森県出身。農学系大学を卒業後、種苗会社、農業ベンチャーを経て現在はフリーとして農業や食に関わる企画や運営、各種サポートを中心に活動中。好きないちごはやよいひめ。

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