いちごの産地といえば、栃木県や福岡県などを思い浮かべるかと思いますが、宮城県にもいちごをたくさん生産しているところがあることをご存知でしたか?
それは宮城県仙台市の南側に位置し、海に面している亘理町と山元町です。
かつて、東北地方で最もいちごを生産していた亘理町と山元町は、平成23年に発生した東日本大震災により被災し、津波の影響で多大な被害を受けました。いちごが実っていた広大な敷地は90%以上がなくなり、生産者も半数近くにまで減ってしまったのです。
しかし、震災から1年経過した頃から、復興への歩みのひとつとしていちごの栽培が注目され始めました。そして、とうとう、東日本大震災復興交付金を使って、いちごの栽培が再開されます。
平成25年度に入ると、その歩みはさらに加速していきます。100億円以上の補助金が交付されることになり、この土地にいちご団地が作られることになったからです。当初、151戸の農家の方で始まったいちご団地は、区画の整備が進み、今後も数年かけて拡大していく予定です。
補助金の交付のほか、技術的なサポートを行うため、栽培を支援するチームも結成されました。これまで取り組んだことのなかった高設養液栽培のマニュアル整備や研修会などが開催され、技術の習得や情報の提供が行われました。
あわせて、それまで高齢者も多かったいちご農家に対して、若手後継者を竿立てるための勉強会も開催されたという点もこれからのいちご生産を支える上で、とても重要なところです。
今では、震災前よりもいちごの収穫量は増え、より品質の高いいちごが生産できるようになりました。
まだ復興途中ではありますが、いちごの生産以外に、いちご狩りの実施やいちごを使ったスイーツもたくさん販売されるようになり、ようやく、いちごのある生活が戻りつつあります。
自然の力は、わたしたちとは比べ物にならないほど強大なものですが、このいちごへの取り組みをみると、強い思いをもって歩みを止めなければ、いつかは復興することができるという道筋を示してくれたような気がします。
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