農業を通して地域活性化!三重県のまんなかで出会う豊かな自然。三重県津市白山町で果物観光農園を運営する「いのさん農園」と白山町エリアの魅力!

いちご農園学部

近年、農業を軸とした地域活性化を推進する農業法人が取り上げられる機会が増えています。食と地域は密接に結びつき、多くの農業経営者が地域のリーダーとしての役割を期待されているからです。
今回は、三重県のまんなか、津市白山町でいちご・ブルーベリーの観光農園を中心に直売所やバーベキュー場の運営など、多角的な経営を行なっている「いのさん農園」の代表取締役社長、岡田孝幸さんに農園や白山町地域の魅力について伺いました。

三重県津市白山町「いのさん農園」

いのさん農園のある白山町は、「便利な田舎」と言われています。いのさん農園から県内の主要な駅である津駅や伊賀神戸駅へは、車で35分ほどのアクセスのよい場所に位置します。

白山町エリアは、古来より、伊勢参りの人々が往来する地域で、非常に古い歴史を持った温泉地でもあります。青山高原の麓、雄大な自然を満喫でき、一年を通して様々な果物狩りも楽しめる観光スポットです。

代表の岡田さんは、Uターンで地元白山へ戻り、いのさん農園を設立。以前は都内で働いていたそうですが、地元の自然を活かしたなにかをやりたいと一念発起。元々、地域内には観光イチゴ園やぶどう狩り園、なし狩り園があり、自分がブルーベリーを作ったら、一年中白山町エリアでフルーツ狩りができるようになり、地域の観光がもっと楽しくなるだろうと考え、地域で初めてのブルーベリー狩り農園をスタートします。その後、自然と人が集まる場所づくりを目指して、観光いちご園やBBQ場、マルシェの開催、直売所やカフェの開設などを積極的に進め、今では人気の観光スポットとなっています。

残留農薬ゼロ、本当の安心安全を届ける

岡田さんは、幼い頃からアトピー性皮膚炎に悩まされてきました。常に食べられるものを選ばなければならず、体に優しい食べ物の知識がかなり身についていたこともあり、いのさん農園では化学物質が蓄積されないことや不必要な農薬散布を行わないなど独自基準を設けています。

正しい知識のもとでいちごやブルーベリーに与える肥料などを選定することは、岡田さん自身にとっても、お客様にとっても重要なことです。

特徴的なのは、「残留農薬ゼロ」の証明を取っていること。化学物質に対するアレルギーがある方にとって、からだに反応が出てしまう化学農薬などを使用しないことはもちろん、農産物に残っていないことの検査の実施、これには費用がかかりますが、本当の安心の証明でもあります。

もちろん、いのさん農園の加工品に使用する果実も残留農薬検査を実施済みだそうです。

ほかにも、いのさん農園の商品づくりや地域づくりのために広く学びを深めている岡田さん。下記にその一部を紹介します。

・野菜ソムリエ
 岡田さん自ら野菜ソムリエの資格を取得し、消費者目線で味や質の良いものを紹介したり、自社の6次化商品開発に役立てたり、地域の子供たちへ向けた食育活動なども行なっています。

・FACO(食農連携コーディネーター)
 食農連携コーディネーターとは、食を通した地域活性化の取り組みをサポートする専門知識・経験を有した人材です。6次産業化のプロとして、社内外の商品づくりをコーディネートしています。

・GAP指導員
 GAP(good agriculture practice)とは、農業生産工程管理のことで、農業生産の各工程でルールづくりを行い、正確な実施、記録、点検、評価を行う持続的な改善活動のことをいいます。いのさん農園では、このようなGAP活動にも取り組んでいます。

どんな食べ物なら安全で安心できるのか、いのさん農園の農産物づくりの軸がここにありました。

代表の岡田さん

 

観光いちご園としての魅力

いのさん農園のいちご狩りでは、5品種程度の美味しいいちごを食べ比べできます。品種はその年によって変わりますが、昨シーズン(2022年)は、章姫、やよいひめ、かなみひめ、紅ほっぺ、おいCベリーを栽培していました。

三重県のいちご狩り園では比較的珍しい「おいCベリー」、全国的にも栽培しているところが少なく、ほとんど市場に出回らない「かなみひめ」など、珍しくて美味しい品種が食べられます。

苗生産も自社で行っているため、苗づくり〜いちごの収穫まで、約1年もの期間ずっと安全安心に気を使いながら栽培されています。

美味しいものを美味しい状態で食べて欲しい、その思いから、いちご狩りなどの収穫体験では、果実の取り方や食べ方、品種による味の違いまで説明してくれます。お客様にもわかりやすいように農薬についてもお話をして、いちご狩りを始めるときには、お客様にとって不安感がないように配慮されています。

5月に入ると、暑さで味が落ち始めることがほとんどですが、いのさん農園では、提供する期間中はできるだけ味が落ちないように、栽培方法や肥培管理の工夫をしながらシーズンの最後まで、美味しく楽しんでいただくための努力があります。来シーズンは、今シーズンよりもっと美味しくするための工夫が既に考えられているようです。

いのさん農園のいちご狩りは、他にはないロケーションも魅力です。
山の上にあるため、春には桜、夏には鮮やかな山々の緑が、夜は星空も美しいです。併設のBBQ場でジビエを楽しんだり、カフェ「ヤマノウエ」でスイーツやコーヒーを楽しんだり、自然のなかでゆっくりリラックスできます。

さらに、いのさん農園のすぐ近くにある、猪の倉温泉しらさぎ苑で使用できる入浴割引券付きなので、からだもこころもリフレッシュできそうです。

 

地域全体を巻き込んだブランディング

岡田さんは、いのさん農園だけでなく、地元の有志で農泊などの新しい取り組みも行なっており、自分たちなりの地域振興で地域を大切にしていきたいと笑顔で話してくれました。

そのために、自分たちが作る農産物がお客様にとってずっとファンであり続けられるものであることが大切と話します。そして、白山の魅力をもっと知ってもらい、ぜひ足を運んでほしい。

このような想いを形にしている取り組みとして、地域の事業者で集まり、Landing in HAKUSANという白山の自然と食の魅力を伝える団体をつくり活動をしています。地域の仲間とともに、地域全体を資源として捉え直し、白山の素晴らしい農山村、そこにある地域資源を活かして、白山でしかできない体験や学びを提供しています。

白山町を訪れることで、日常では気づくことのできない、いきものや食べものの大切さ、多様な人や自然との向き合い方、ひとそれぞれのあり方などを、その人なりに感じる時間になるかもしれません。

こういった地域全体で取り組む活動によって、白山町エリアを訪れた多くの方々がこの場所にある感動に出会っています。いのさん農園でもリピーターが非常に多く、一度は訪れてみたい里山といえるのではないでしょうか。

「農園や白山町エリアに来てもらえたら、好きになってもらえる。うちのスタッフのみんなにもぜひ会って欲しい。」
なによりも大切にしているのは「ひと」。そして、「コミュニケーション」と話す岡田さんから出た自然な言葉がとても印象的でした。

いのさん農園の理念「食を通して人の心を豊かに」
今回の取材でも、豊かな自然を地域社会に必要不可欠なものとして捉え直し、新たな地域の可能性を創造するため、チャレンジを続ける岡田さんから、たくさんのわくわくする地域づくりを教えていただきました。

いのさん農園のいちご狩りは、12月末以降から開始予定です。いちご狩りシーズン以外でも、地域全体で楽しめる白山町エリア、ぜひ訪れてみてはいかがでしょうか?

  • いのさん農園
    場所 三重県津市白山町佐田2745-1
    営業時間 シーズンによって異なるため、ホームページよりご確認ください。
    休園日   月曜日
    予約                  予約可能
             ※団体様の場合は事前にお問い合わせください。
    駐車場   約20台
    お問合せ            059-264-0550
    ホームページ       https://inosan-farm.co.jp/
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<ライタープロフィール>

RENA 青森県出身。農学系大学を卒業後、種苗会社、農業ベンチャーを経て現在はフリーとして農業や食に関わる企画や運営、各種サポートを中心に活動中。いちご大学アカデミアではモデレーターを務める。好きないちごはやよいひめ。

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