いちご栽培の高齢化とその美味しさの努力

いちご雑学

スーパーに行くと多くのいちごが販売されており、手軽に手に取ることができます。多くの加工食品を含めると年中いちごの商品を見ないということはありません。しかし、そんな美味しいいちごを食べることができるのは、実際に働いている人の努力があってこそです。今回は、そんないちごを栽培に関わる労力や悩み関わる調査から、いちごが手元に届くまでの、大変さを紹介します。手元に届いたいちごを大切により味わうきっかけになれば幸いです。

いちご栽培に関わる労働とは?

まずは、実際にいちごをスーパーで購入するまでに、いちご農家が携わる栽培に関わる労働とはどのようなことをしているのでしょうか?

大きく分けると、4つの区分に分けることができます。

  1. 苗植え
  2. 苗の生育
  3. 実の収穫
  4. 出荷作業

いちごの苗植えに関しては、購入したいちごの苗を植える作業です。いちご農家の場合は、植える苗が家庭の1~2個というレベルではなく、何百から千以上の苗を植える必要があります。加えて、ただ単に植えるだけではなく、いちご栽培に適した土壌を作るという作業も入ります。具体的には、必要な肥料をいれて整え、連作障害を避けるために不可欠な工程なのです。

いちご苗の生育の作業は、単に水をあげる作業だけではなく、生えてきた雑草の対策、害虫の駆除や追肥といった作業が入ります。また茂ってきた苗に対して、通気性が悪い場合には、葉を取る作業も必要です。ビニールハウスの管理や時期によっては暖房をつけて、外気状態の管理の仕事も入ります。実ってきた実が綺麗な赤色にするために、照明の設定をする必要もあります。

いちごの実の収穫は、ロボットではなく手作業で行われます。この時に傷がついている実や大きさの分類作業も同時に行っていきます。

いちごの出荷作業は、実をパッケージに入れて、ビニールでくるむ作業です。品種名やいちごの粒の大きさの規定がある場合はその規定にあった実の大きさをパッケージングしていきます。また、プラスチックの容器を一つのダンボールに入れる作業も、セットで入ります。

こうした4つの作業をいちご農家の人は、全てほぼ手作業で行っています。水やりに関してはホース等改良されている部分もありますが、いちごは実が柔らかく繊細な果物のため大部分がこうした作業によって行われているのです。

いちご栽培に関わる酷使される体の部位

では、いちご栽培の作業でどの体の部位が酷使されるのでしょうか?体の部位を紹介し、具体的にどの作業によって引き起こされるのかを解説します。

最初の腰は、主に苗を植える作業や苗周辺で育った雑草を取るといった土に関わる作業で使用される体の部位です。特に植える作業は、重い土の運搬の後に、長時間、腰を曲げて行う必要があります。最近では、しゃがむ必要がなく、苗を植える栽培方法で軽減されているものの、植える作業にはどうしてもかがむ必要があるのです。

また土に、生えている雑草を抜くには、やはり上半身を曲げて行う必要があります。農薬を使用しないで育てる無農薬栽培の場合は、除草剤を使用しないため、雑草を人の手で抜く必要があるのです。収穫やパッキングの作業も、腰を曲げて実を収穫するため、腰痛に悩まされる人が多いのです。

肩もいちご栽培では痛めやすいとされている体の部位です。先程紹介した実の収穫の作業だけではなく、実の大きさの仕分け作業や梱包にも酷使される部位です。また、ビニールハウスのビニールを貼る作業でも、肩を酷使します。

目を酷使するのは、実は栽培で使用される照明のためです。いちごの一般的な品種は赤い色をしており、実が赤ければ赤いほど高値で売れます。加えて、甘みも増すことから、光を当てる必要があります。この実に当てる照明のために、目を酷使することで、眼精疲労の原因になります。

他にも照明に関しては、強烈な光源を長時間当たることで、体内時計が狂い睡眠不足や不眠症という症状が出ていると報告されています。

加えて、時期によって作業が収穫と同時に苗の雑草取りを行う必要がある品種を扱っている等、複数の作業の工程が重なることもあります。長期間いちごを楽しむため、様々な品種が産まれることで、楽しめる分、育てる農家の負担も増加傾向にあるのです。いちごを収穫し、我々に届くまで多くの工程が重なっているのです。

いちご農家を助けるためにできることは?

このような労力があっていちごを育てている農家を助けるにはどうしたらいいのでしょうか?消費者である私達ができることをあげてみました。

  1. 農家直送や農家の人から商品を購入する
  2. ちょっと高い価格のいちごを買う
  3. 国産いちごの商品を買う

まずは育てている人に直接お金を落とすこと、これが一番大切なことです。育てている人が実際に食べている人の感想を貰えることは育てる人の励みになります。加えて、直送のため新鮮ないちごを食べることができ一石二鳥です。

次に価格が高いいちごを購入することです。いちご農家は、商品価値が高い商品を販売することで、その分育てる数が少ないものの、価値が高い品種を育てることで、労力を減らすことができます。加えて、一粒が大きいいちごを食べることで、たくさんのいちごを食べなくても満足感を得やすく、ダイエット効果に繋がります。ちょっと価格が高い商品を購入するのも支援になるのです。

最後は、国産のいちごの商品を買うことです。いちごの加工商品は輸入の物を使用していることも多く、日本の農家を支えるのには、国産の商品を選ぶだけでも農家の支援になります。加工商品の場合は、いちご(国産)の商品を選ぶのがポイントです。


まとめ

美味しいいちごが流通するには、苗を植えて赤い美味しい実がなるまで多大な労力が想像以上に必要です。見栄えはもちろん、ジューシーで甘い果実は繊細なため、機械化ではなくて多大な人の手間がかかっています。苗を植えて美味しい実を育てる環境を作る、雑草を抜く、追肥の作業やもちろん、収穫やパッキングまで一連の作業を農家が行っています。

スーパーで手にとった際に、より美味しくいちごを大切にするきっかけになれば幸いです。

参考文献
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjrm/54/2/54_2_97/_pdf/-char/ja

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