今回は、和歌山県みなべ町でいちごの観光農園を営んでいらっしゃるstrawberry farmまあと工房の崎山正人さんにインタビューをさせていただきました。
崎山さんが手がけるいちごは、2016年に開催した「いちご食べ比べパーティー」にてダントツのトップに輝いたことが証明しているように、その味は折り紙つきです。
今回は、いちごへの思いやこだわりなど色々と教えていただきました。
それでは、インタビューをどうぞご覧ください。
- 崎山さんは、いつ頃からいちごの栽培に携わっていらっしゃるのでしょうか。
- 「究極の血液型別・いちごジャムA型」など、販売されているジャムのネーミングがとても個性的ですが、ご自身が考えられたのでしょうか。
- いちご農園にある、大きないちごが刺さっている看板が目立ちますが、製作は大変でしたか?
- 崎山さんが考えるいちごの魅力について、お聞かせいただけますでしょうか。
- 崎山さんの代になってから、農法などは変えていらっしゃるのでしょうか。
- いちご作りにおいて、崎山さんが最もこだわっていることは何でしょうか?
- 高級いちご狩りをされていて、どのようなことに苦労されていらっしゃいますか?
- 高級いちご狩りの他に加工品なども手がけていらっしゃいますが、その他にこれから取り組もうとされていることはありますか?
- いちご農家としてのやりがいについてお聞かせください。
- 今年のいちごの出来はどうでしたか?
- 最後にこれだけは伝えたいということがあれば、お願いいたします。
崎山さんは、いつ頃からいちごの栽培に携わっていらっしゃるのでしょうか。
もともと、実家がいちご農家だったのですが、私自身は2008年ごろまではタレント業をしていました。そして、こちらへ戻ってきた時に仕事を探していたこともあり、それならば実家を継ごうかなと思ったのがきっかけですね。
そして、4年ほど修行を積んで2012年に独立しました。
現在は、“strawberry farmまあと工房”という看板を掲げていますが、それまでは“手作りいちごジャムの店まあと工房”として、ジャムをメインに取り扱っていました。
ちょうど余ったいちごを使って加工品を作っていたのですが、やはりジャムだけではやっていけないということで正式に実家を継ぎ、いちごの栽培から手がけることになりました。
「究極の血液型別・いちごジャムA型」など、販売されているジャムのネーミングがとても個性的ですが、ご自身が考えられたのでしょうか。
そうですね。中身はもちろん違いますので、一個買ったら次も買ってみたくなるような製品を作っています。特に、男性は血液型が覚えられないので、お土産として購入することで覚えられるきっかけにもなるかと思います。
実は、血液型という発想はワインからヒントを得ています。
以前、血液型ワインというのが流行り、誕生日プレゼントとして贈られることが多かったので。
血液型とジャムを結びつけるにあたってジャムを4種類作り、来ていただいたお客さんにアンケートを取りました。
4種類のラベルを変えたジャムを試食してもらい、一番美味しかったものをアンケートに記入していただくのです。その他の質問も織り交ぜながら、最後にお客さんの血液型を書いてもらうことでデータが集計できますので、そこから最も好みの味として選ばれたジャムを血液型別に振り分けています。
いちご農園にある、大きないちごが刺さっている看板が目立ちますが、製作は大変でしたか?
宇宙からいちごが落ちてきた様子を表現したかったので、看板に対して斜めにいちごを刺す作業が大変でしたね。看板屋さんもいちごを作っていただいた造形師さんも初めての体験でしたので、大分、目をかけて作り上げました。
崎山さんが考えるいちごの魅力について、お聞かせいただけますでしょうか。
いちごというのは老略男女、みんなが好きな果物ですし、嫌いな人も極力少ないですよね。また、加工するにしても、「○○のいちご味」といった形で無限に加工することができるので、可能性がまだまだあると感じています。
さらに、同じ品種であっても作り手によって全く違うものになるのがいちごです。そのため、作り手の数だけ味があるという魅力もありますよね。
個性で勝負ができる、唯一の商品ではないでしょうか。
崎山さんの代になってから、農法などは変えていらっしゃるのでしょうか。
こちらでは、漢方農法を取り入れています。
いちごの苗の近くに梅の木があるため、どうしても、うどんこ病が梅の木からうつってしまい、いくら防御しても発生してしまいます。それを逆手に取り、漢方薬を使って消毒を極力減らすようにして育てています。
どうしても消毒をしてしまうと、罪悪感が生まれてきてしまうんですね。毒は育てていないつもりですが、無理やり消しているような気持ちになってしまうので、色々試行錯誤してみた結果、体にも良く、自分自身がストレスなく作業に取りかかれる方法を模索してこういった形になりました。
人間でも風邪薬を飲み続けると、体にも良くないものです。それを葛根湯などの漢方薬に変えていくことで体への負担も少なくなるのではないかと考え、いちごにも取り入れています。
しかし、その分、コストがかかってしまうのが難点ですね。
ただ、こちらではボイラーを使っていないので、その分を漢方にまわしたり、高級いちご狩りの料金をあげさせていただくといった工夫をしています。
いちご作りにおいて、崎山さんが最もこだわっていることは何でしょうか?
高級いちご狩りに来たお客さんに、ものすごく楽しんで帰ってもらうということを心がけています。
今はナイターの高級いちご狩りもしているのですが、電灯を使うととても神秘的になるので徐々に取り組む農家さんが増えてきていますね。
ナイターの場合、客層はカップルがメインになります。
こちらの場合は夜中の1時まで営業していますので、ちょうど12時に来ていただいて誕生日やプロポーズの場所として使うこともできます。
もともと、夜間というのは、昼間にためた養分を葉からいちごに送っている時間帯であり、一番美味しくそして、電灯のおかげでムーディに食べることができます。
貸切の時にはプラス500円をいただいており、カップルで来られた場合は1時間7,000円ほどで楽しむことができます。
また、こちらでは想い出ノートというものも用意しています。
来てもらったお客さんに色々と書いていただくのですが、もし女の子同士で来ていた場合には、LINE IDを残してもらっています。
そして、別の日に男の子同士で来ていた方に、LINE ID を残していった女の子のことを伝えると想い出ノートを見ることになるので、「見たからにはせっかくだから、彼女たちに連絡してね」と伝えています。
そのやり取りを通じて、既にカップルが6組ほど成立しているので、「想い出ノートに書くと、来シーズン中に彼氏ができる」というジンクスもできてきましたね。
高級いちご狩りをされていて、どのようなことに苦労されていらっしゃいますか?
病気や天災ですね。天災については勝てないので、どう対処するかという問題にはなりますが。
その他は、モラルがないお客様への対応の仕方でしょうか。
例えば、来られたお客様の中にはミツバチにびっくりされる方がいらっしゃいます。
いちごとミツバチは切り離せない存在であって、ちょうど車にタイヤがついているようなものです。やはり、ミツバチがいなければいちごは作ることができないので、その辺りについてご理解いただきたいですね。
いちごとミツバチの関係を知らないお客様がいらっしゃった場合、受付まで来て驚かれて取りやめるというケースもあります。
こちらでは高級いちご狩りをうたっていることもあり、ミツバチが刺さないように色々な努力をしていますし、綺麗にもしています。それでもミツバチが怖いというお客様であればお帰りいただくこともありますね。
そして、作り手の気持ちをもっとわかってもらいたいという思いがあります。
いちごができるまでには20か月ほどかかりますが、高級いちご狩りでは、手塩にかけて育てたいちごを一瞬で食べてしまうことになります。そのため、思いを踏みにじられてしまったなら、農家さんはそれが怒りに変わってしまい、もう辞めてしまおうかという気持ちになるものです。
しかし、そこを伝えていくのが私たちの仕事でもあると思っているので、その辺りも苦労している点でしょうか。
高級いちご狩りの他に加工品なども手がけていらっしゃいますが、その他にこれから取り組もうとされていることはありますか?
高級いちご狩りの後に3か月ほど空いている期間がありますので、めろんを植えて高級めろん狩りをしようかと考えています。
高級めろん狩りに関してはクラウドファンディングをする予定で、協力していただいた金額に応じて、まあと工房で使える金券を提供し、必ず商品を食べていただけるようなリターンを考えています。もし、万が一、こちらに来られないという場合であってもお菓子に代えてお返しする予定です。
高級めろん狩りの方法としては、3種類楽しんでいただこうと思っています。
2週間前に予約をしていただければ予め収穫して熟しておき、来られる半日前に冷やして食べていただくという形です。
そして、お客様には気に入っためろんをお持ち帰りしていただきます。
いちご農家としてのやりがいについてお聞かせください。
毎日、ギャンブル的な要素があり、やってみなくてはわからないというところがありますね。
普通のサラリーマンと違い、会社に行って17時に退社するというわけにはいきません。行ってみて出来るだけのことをやって、数日休むということもありますし、天気にも左右されます。そこの面白さはありますね。
今年のいちごの出来はどうでしたか?
かなりの不作でしたね。やはり、秋の長雨と台風の影響で日照不足になり、苗が育たないままでした。
人間でいうと、中学生に対して高校生になれ、と言っているのと同じですね。そして、高校生になるときにはもう、社会人として普通に働いているようなものなので、体は大人だけど脳みそがついていかないという状態でした。
そのまま急成長させてしまったので、甘みも乗らなかったですし変な終わり方をしてしまいました。
どうしても、いちごはビニールハウスで冬場に育てるものなので、今年の4月の暑さだとハウスの中が40度を超えてしまいコントロールできなくなります。虫もわいてきてしまいますし、GWにはいちごが腐ってしまい、量が極端に少なくなってしまいました。
最後にこれだけは伝えたいということがあれば、お願いいたします。
いちご農家さんの数だけ、いちごがあると思っていただければ。
そして、もう少し作り手の気持ちを考えて、いちご狩りをすると面白いと思います。
園長さんと仲良くなれれば、いちご狩りはいつでも行けるものですしね。
<まとめ>
今回は、いちご狩りの新たな可能性を追求し、日々努力されていらっしゃるstrawberry farmまあと工房の崎山正人さんにお話いただきました。
安心安全で尚且つ、甘みのある美味しいいちごを生産するには本当にたくさんのご苦労があるかと思います。そのような部分を包み隠さず教えていただいた貴重なインタビューとなりました。
美味しいことはもちろんのこと、崎山さんのトークも楽しめる高級いちご狩りは2月から5月まで堪能できるそうです。今年は高級めろん狩りにも挑戦されるとのこと。是非、ご家族で、そしてカップルで訪れてみてはいかがでしょうか?
<参考サイト>
strawberry farmまあと工房
http://mart-jam.jp
strawberry farmまあと工房 Facebookページ
https://www.facebook.com/Martkoubou/?ref=br_rs
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