日本のいちごは、実は地域ごとによって多くの品種が育てられ、それぞれの品種ができるまでのストーリーや特徴があります。その特徴をより知ると、より美味しくそのいちごを味わうことができます。加えて、保存方法や長所を知ることができ、深く楽しむことができるのです。今回は、福岡県のいちごに関して解説します。
福岡県のいちごの生産量
福岡県はいちごの生産量で、日本で二番目の生産地です。その生産量の多さは西日本のスーパーで、いちごなら福岡県のものが多いことからも物語っています。『西日本』のいちごの生産地で有名な県として、福岡県が浮かぶのもうなずけます。けれども、福岡県は東日本や北海道でもスーパーで見かけることが多い産地です。
順位 | 都道府県 | 収穫量 | 割合 |
1位 | 栃木県 | 24,900t | 15.40% |
2位 | 福岡県 | 16,300t | 10.10% |
3位 | 熊本県 | 11,200t | 6.90% |
4位 | 静岡県 | 10,800t | 6.70% |
5位 | 長崎県 | 10,200t | 6.30% |
それもそのはず、福岡県には、日本で大粒のいちごの代表品種「あまおう」を生み出した土地です。加えて、元々福岡県には「とのよか」という、パック入りいちごで代表的な品種があります。
「とよのか」は、とちおとめと並ぶパック入りいちごの代表品種で、未だに多くのファンがいるいちごです。
さらに、美味しさが有名になり、全国で栽培されている「さちのか」という品種も福岡県の開発した品種です。
福岡県はこうした、代表的な品種をいくつも持っているだけではなく、その時代の消費者が欲している品種と作り出すという大きな特徴を持っています。そのため、知名度が高く多くの人に愛されている理由なのです。福岡県のいちごの特徴は、味はもちろんのこと、大粒のいちごの品種が多い点です。
福岡県のいちごの産地は、福岡県の南部の八女市、大川市、広川町、久留米市と言った元々代表的な産地の他、筑後市、大木町、糸島市、福岡市と多くの地域で栽培されています。
福岡県で栽培されている代表的品種~あまおう~
福岡県のいちごで代表品種と言って外せないのが「あまおう」です。あまおうは、現在の日本で大きくて甘い、いちごの品種としての地位を確立している品種です。贈答用の高級な価格から、スーパーで手に取ることができる価格帯まで販売されており、多くの人に愛されています。
あまおうは「あ・ま・お・う」とそれぞれ意味があります。あまい、まるい、おおきい、うまい、いちごの品種で一番理想とされている全てが備わっているいちごということでこのネーミングになりました。
あまおうと聞いていちごの品種の名前だと初めてきいて思わなかった人も多くいると思います。それもそのはずいちごの品種名は基本、いちごに関する名前とその土地の県名でつけられることがほとんどだからです。
美味しいいちごの良さが備わったあまおうは、日本のいちご業界で、大粒で甘くて赤いいちごのブームが起こり、他の都道府県が大粒で美味しいいちごの品種を生み出すきっかけにもなりました。
あまおうの栽培できるのは福岡県の土地のみで、他の都道府県や地域では栽培することができません。それだけ、福岡県が一押しで力を入れているいちごになります。収穫時期も長く12月の中旬から5月まで栽培できるいちごになります。
福岡県で栽培されている代表的品種~とのよか~
福岡県であまおうが出る前は、日本で一番、スーパーで置かれていた品種、それがとのよかです。とのよかはあまおうが出るまでは、その流通数と味から、西の横綱と呼ばれており、横綱の名はあまおうに渡したものの、その味わいに大変多くのファンがいる品種です。
とよのかの最大の特徴はその味わいです。いちごの美味しさには、いちごの、甘みだけはなく、酸味と言った要素も大きく関係しています。とのよかは甘みだけではなく、酸味もしっかり味わうことができ、甘さよりも酸味を味わいたい人に人気の品種です。また、ケーキの材料としても人気で、酸味が程よい味わいとして引き立つのも大きな特徴です。
また、柔らかい果肉が特徴のため、牛乳と一緒にジュースやスムージーにしたりするのにも適しています。
実の特徴は、ちょっと不揃いな形をしていますが、実に艶があり、断面の果肉は白っぽい部分が多いのが特徴です。
家庭菜園でも育てやすいため、家で育てる場合でも比較的人気の品種です。栽培は11月から5月までと長い間楽しむことができる品種となっています。
福岡県で栽培されている代表的品種~さちのか~
「さちのか」は福岡県の「とよのか」と愛知県の「アイベリー」をかけ合わせて作られた品種です。アイベリーは実の粒が大きいことで知られているアイベリーと、先程紹介した酸味と甘味を持っている、とよのかから生まれた「さちのか」は両方のいいところを引き継ぎました。
さちのかは、アイベリーの実の大きさと実の美しさの形状は維持しつつも、とのよか譲りの甘みと酸味を引き継いだのです。
とのよかとの味わいの違いは、さちのかは、甘さと酸味のバランスが絶妙という点です。それぞれはしっかり味がするわけではなく、調和するような味わいとなっています。加えて、糖度も高く10度以上の平均値を持っているのも特徴です。こってりするような甘さではないものの、さっぱりとした甘さを求めている人に人気の品種になります。
栄養面では、他のいちごの品種よりもビタミンCの量が多いのも特徴で、100g中80mgも含まれています。
また、さちのかは、実が固いのも大きな特徴です。実が固いため、日持ちもしやすく長い期間楽しむことができる点も人気の秘密となっています。
まとめ
福岡県は西日本では代表的ないちごの産地であり、加えて多くのブランド品種を持っている県になります。その時代のニーズにあった品種を生み出し、多くの人に愛されているのも大きな特徴です。
大きくてあまいいちごのブームになった「あまおう」スーパーで多く並べられており、甘さと酸味を味わうことができる「とよのか」、日持ちがしやすくさっぱりとした甘さを持つ「さちのか」と言った代表品種を生み出し、現在でも多く出回っています。
またネット販売で、人気の大型品種の「アマテラス」という新規品種の開発も盛んで今後の日本のいちごをもり立ててくれる産地なのです。
<参考文献>
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