相模原駅から住宅街を歩くこと約15分、焼き菓子の香ばしい香りとともに、ヨーロッパの郊外を思わせるような「セ・ラ・セゾン!相模原本店」が現れます。店名の「C’est la Saison!セ・ラ・セゾン!」とは、「今が旬!」という意味のフランス語です。その名の通り、旬のフルーツをふんだんに使ったケーキが自慢の洋菓子店です。
オーナーシェフは元KIHACHI製菓長の経歴を持つ清水康生さん。あの有名な「キハチトライフルロール」の考案者でもあります。旬の素材の力を信じて、シンプルで飽きの来ない味を追求している清水シェフが作る「夏いちごのショートケーキ」を取材してきました。
■2年前までは夏のイチゴの取り扱いはしていなかった
セ・ラ・セゾン!の「夏いちごのショートケーキ」は、ホールケーキでもショートケーキでも販売があります。ケーキの中でも定番中の定番であるいちごのショートケーキは、どの季節も人気。
しかしイチゴの旬は冬から春にかけてです。
セ・ラ・セゾン!では、夏には夏が旬の「夏イチゴ」を使う事で、どの季節でも旬のイチゴの味を提供しています。同じく夏イチゴを使った商品として「夏いちごのタルトレット」もあります。旬の食材としていち早く夏イチゴに目をつけ、夏イチゴならではの味わいを追求しているのかと、いつからどういった経緯で夏イチゴのスイーツを提供するようになったのか聞いてみました。
すると、返ってきた答えはいたってシンプル。
清水シェフによると、夏いちごの取り扱いを始めたのはつい2年前からということ。
夏はさくらんぼ、メロン、桃、すもも、ネクタリン、スイカ、マンゴ、ブルーベリー、いちじく、ブドウ各種など、美味しい旬のフルーツが豊富。苺がなくてもショーケースは華やかになります。美味しいイチゴがなければ、味と見た目のバリエーション的にも無理して使う必要がなかったのだそうです。
しかし、長野県伊那市の森本いちご園が栽培している「真心」は甘さと酸味のバランスが取れた納得のいく味だったのだと清水シェフは語ります。森本いちご園の「真心」は信州大学で開発された品種で、サマープリンセスと女峰を掛け合わせた夏イチゴです。
美味しい夏イチゴに巡り合ったから。そんなシンプルな理由でセ・ラ・セゾン!の「夏いちごのショートケーキ」は誕生したのでした。
■「パクパク食べられる」セ・ラ・セゾン!の洋菓子
清水シェフがお菓子作りを続ける中で大切にしている事の一つに「パクパク食べられる」洋菓子を作るというポイントがあります。気取らずに素材の味を大切にして、飽きの来ない味を提供したいという意味です。
洋菓子というと、一般的には甘みやクリーミーさが濃厚な印象があります。洋菓子店によっては、少しの量でもこってりとしたボリューム感を感じさせるケーキを提供するところもあります。しかし、清水シェフは素材の力を信じ、シンプルなケーキ作りを行っています。
そんなセ・ラ・セゾン!こだわりの「夏いちごのショートケーキ」を実食させていただきました。
店内には、購入したケーキをすぐその場で食べる事ができるイートインスペースもあり、そちらでまず一口。クリームのミルキーな香りがイチゴの旨味をひきたてる絶品です。スポンジも甘すぎずあっさりしているので、一口と思っているうちに、どんどん食べ進んでしまい、気がつくとすでに完食していました。
まさに「パクパク食べられる」ケーキとはこのことと実感するとともに、大きなホールケーキを買って、家族みんなでたっぷり食べる幸せな光景が目に浮かぶようでした。
■産地直送、エコ農法、地産地消…素材への想い
セ・ラ・セゾン!が夏イチゴを仕入れている森本いちご園では、天敵栽培など減農薬栽培によってイチゴを栽培しているのだそうです。これは、イチゴの害虫を食べてくれる生き物(害虫にとっての天敵)の助けを借りる事によって、化学農薬を必要最低限に抑えるという栽培方法です。
セ・ラ・セゾン!は農家産直にこだわっていて、森本いちご園以外にも、様々な農家と直接契約を結んでいます。もともと農学部出身の清水シェフは、パティスリーキハチで製菓長として働いていた頃から、地産地消を根底に農家さんや地域との繋がりをモットーにお菓子作りに取り組んできたと言います。地産地消という考え方は、キハチ創立者の熊谷喜八さんが地元の食材を積極的に料理に取り入れていく姿から多大な影響を受けたのだとも語ります。「本当に美味しいものは、その土地で収穫された旬のもの。
そして、それは健康にも良いものであるはず。」そんな思いで、農家を訪ねながら自分が納得した食材を仕入れていると、自然とエコ農法や減農薬で栽培された素材ばかりが揃っていくのだそうです。
地産地消は外からその土地に食べに来てくれたり、持って帰ってもらったり、地域文化の発信も使命だというのが清水シェフの考え。特に次にご紹介する和歌山店ではそのことを強く意識して取り組んでいるのだそうです。
■二つの夢…和歌山店と夢ケーキプロジェクト
食材にこだわり丁寧なケーキ作りを行っているセ・ラ・セゾン!。エントランスに一歩足を踏み入れると、美味しいケーキと笑顔の絶えないスタッフが迎えてくれます。そんな素敵なお店を率いる清水シェフが取り組んでいる二つの「夢」について教えていただきました。
自らの夢は、農場とともに歩むパティスリー
清水シェフの思い描く理想の洋菓子店は、農場とともに歩むパティスリーだと言います。
その理想を叶えるべく、セ・ラ・セゾン!は2年前から、清水シェフの出身地である和歌山県に「和歌山串本養春店」をオープンしました。和歌山串本養春店では、定番の洋菓子だけでなく、近隣の提携農園で収穫された旬のフルーツを使った和歌山店オリジナルのスイーツも提供されています。和歌山県は特に柑橘類の産地として有名です。ポンカンや金柑など、一見和風とも感じられる果物も清水シェフの手にかかれば見事なケーキに仕上がります。
果物の旬の時期が分かるようにという気持ちを込めて、相模原本店の周りにもブラックベリーやブルーベリー、レモンなど様々な果物の樹が植えられています。見学させていただいていると「これはもう食べられるよ」と清水シェフがブラックベリーを一つ渡して下さり、そのまま口に運んでみました。甘酸っぱく香り高いブラックベリーは、スーパーで販売されているものとは比較できないくらいの濃厚な味わい。
ケーキを買いながら、こういった栽培の現場を見させていただく事ができるというのは、食育の観点からも素敵な取り組みだと感じました。
子供たちに伝える「夢ケーキプロジェクト」
清水シェフが取り組むもう一つの夢。それは、子供たちにケーキ作りの楽しさを知ってもらい、またケーキ作りを通して生き方を見つめる機会を提供する事です。
全国で行われている「夢ケーキプロジェクト」は子供たちに自分の夢を描いてもらい、それを子供たちとパティシエが一緒に「夢ケーキ」として作り上げるというプロジェクトです。清水シェフも賛同パティシエの一人として、その取り組みに参加しています。相模原本店や和歌山串本養春店で定期的に開催している他、相模原本店の近くの淵野辺東小学校の6年生を対象とした特別授業でも「夢ケーキプロジェクト」を実施しています。
今年2月に行われた淵野辺東小学校での「夢ケーキ」の特別授業は今年でなんと6年目。
6年生4クラスの子供たちがそれぞれ4班に分かれ、各クラスで長方形のケーキを合作。ケーキのデザインは、まず児童全員がそれぞれ自分達の夢や楽しかったことなどを考えながら絵を描き、それを元にデザイン委員がケーキのサイズにデザインしたのだとか。完成したケーキは児童自らで切り分けて、先生やボランティアの方々、そしてケーキ作りをサポートしたセ・ラ・セゾン!のスタッフの皆さんと一緒に試食したのだそう。
デザインからケーキ作りまでを全て自分達で行ったケーキの味は、きっと思い出に残る事でしょう。
■「セ・ラ・セゾン!」の店舗情報など
「旬の食材を使った美味しいケーキを作りたい」そんなシンプルな想いが、地産地消や自然農法へのこだわりとなり、さらには、地域を愛し愛される唯一無二のお店になりました。夢と笑顔と美味しいケーキのある「セ・ラ・セゾン!」。夏イチゴだけでなく、ぜひ冬のイチゴのシーズンにもお邪魔して、清水シェフのイチゴ三昧を堪能したい…と私の夢も膨らみます。
セ・ラ・セゾン!相模原本店
〒252-0232 神奈川県相模原市中央区矢部1-14-8
TEL:042-769-7355
FAX:042-769-7356
10時~18時30分
※定休日についてはホームページをご確認下さい。
セ・ラ・セゾン!和歌山串本養春店
〒649-4125 和歌山県東牟婁郡串本町姫27番地 旧養春小学校内
TEL:0735-67-7120
FAX:0735-67-7121
9時~18時
※定休日についてはホームページをご確認下さい。
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